料理は愛情

なんか懐かしいフレーズだけど、これはしみじみ納得できる。これを意識すると料理の作り方が変わると思う。愛情というのは、もちろん、「食べる人」への愛情です。恋愛ではなくてもっと広い意味の愛。大切に思う気持ち。
これを持っていると、何よりも、食べる人のことを第一に考えて料理をするようになる。つい、料理の形を作ることを目的にしがちだったり、あるいは自分のスキルや知識を知ってほしいと思ったり、あるいは自分にとっておいしいものを作りがちなんだけど、「愛情」を持つとその辺りはすべてどうでもよくなって、何よりも今、おなかをすかせているこの人が笑顔になってくれるためには、という目的に変わる。
具体的には、まずメニュー選びから熟考するようになる。もちろん、ベストなものが用意できるはずはないから妥協はやむをえないところはあるけれど、できる限り、今の相手のコンディション、空腹の度合、好き嫌い、食べた後の予定、などなどを考えて、それに沿ったメニューを考えるようになる。
また、味見を積極的にするようになる。味見というのは、凄く基本のようだけど、だいたい自炊の初心者って味見しないですよね。結構面倒臭かったりするし、そもそも発想がない。でも味見というのは基本でいて重要なものだと思います。(レシピ本は、味見の重要性を訴えるべきだと思う)そうでないと味が薄すぎたり、煮えてなかったり、そういうものを食卓に出すことになってしまう。味見さえすれば調味料を加えたり、煮る時間を長くして容易に防げたかもしれない。
食材を切ったりするときも、変なサイズになってしまったものとか、火の通りにばらつきができるからと思ってなるべく均等になるよう心がけたりするし、料理をする環境や、器や盛り付けにも当然気を遣うようになる。
いろいろな趣味や技能や仕事やらあるけど、その中で「料理」というのは、こういう一つ一つのプロセスに伴う作業に対する些細な心遣いが、結果の出来にもっとも大きく影響してくる分野の一つなんじゃないかなと。だからこそ「料理は愛情」なのだろうと思います。例えば受験生が試験勉強をしたり、ビジネスマンが会議に使うスライドを作成する時には、大事なことっていうのは一つ一つの作業に対する心遣いでは「絶対に」無くて、ノートを綺麗にとるとか、スライドのアニメーション作りに丹精込めるとか、そういうことは結構二の次のことだったりする。そもそも、料理のように「作る人」「食べる人」という分け方がしにくいし。