都心環状線を走ってみた/自由に走るということ

C1(都心環状線)を一周してみたいと思ったので、ついカッとなって、特に用事もないのに首都高を走ってみた。直前の激しい冬の雷雨以降、気温が急激に低下して、車の外に出ると震える程に寒い。温度計は3℃を示していた。最初、濡れたフロントガラスが凍っていて、ワイパーを動かすとザリザリ音がしていたので、フロントガラスを温めて氷を溶かした。

錦糸町入口はなんと工事中で入れなかった(カーナビの地図で見た限り)ので、平井大橋から入った。駒形の方が近かったので、入口近くまで行ったのだがどこから入ればいいのかよくわからなかったので半分以上減っていたガソリンの補給ついでに移動した。

ちなみに駒形出入口は、Googleマップで確認すると、どうやら「高速駒形入口」交差点から入る必要があったらしい(下図)。カーナビの案内を設定していなかったので、近くに行けばなんとなく入れるかな?とぼんやり運転していると、このように入口も見つけられないという羽目になる。

入口は上り方面のみ、出口は下り方面のみといういわゆる「ハーフインターチェンジ」というらしい。逆にハーフでないICはどっち方面にも行けるということだ。(もし入口が下り方面のみだったら、都心環状線とは反対方向に走って行ってしまったことになるということだ。その辺の前提知識がない状態では、迂闊にICは使えないということになる)しかし錦糸町平井大橋の入口はいずれも上り方面しか乗ったことがなく、下り方面はどこに入口があるのかよくわからない。カーナビに頼っていると、良くも悪くもこの辺を自覚的に考える必要がないので、覚えることもない。

錦糸町はハーフではないインターチェンジなので、このように右側と左側に入口があり、右は都心環状方面、左に入ると京葉道路/千葉方面ということになる。

平井大橋のインターチェンジは、高速中央環状線内のICで、入口は内回り、出口は外回りのものしかない。これもハーフインターチェンジということか。

それにしても、「運転自体が目的」という運転は、自分のような自由な生き方を知らないタイプ/レールに乗りたいタイプの人間には、逆に練習が必要だということを痛感した。まず運転することが目的だと目的地がないから、カーナビの案内に頼ることができない。カーナビの案内なしでそれなりに走れる程度の知識・経験が必須になるということだ。

そもそも自動車の運転というのは制約が多く、思うがままに行こうとするにはそれなりの知識が必要だ。少なくとも交通ルールは知らないといけないし、慣習のような暗黙的なルールも守らなければならない。自由に走れる人というのは、そういう知識を持っていて初めて多様な選択肢が見えるようになり、そこから選ぶことができるようになるのであって、知識がないとそもそも選択肢など殆どないのだ。「ちょっと路肩に停車する」だけでも、特に交通量の多い道路には迂闊なところには止められない*1。予定が狂って、仕切り直そうとしても、そもそも車を停めることさえままならない状態では、「自由に走る」なんてまだ早い。「半年ROMれ」というレベルなのだと思う。

平井大橋に入った後は、分岐では常にC1と表示されている側に移動することを意識して走ることにする。夜の首都高はかなり空いていて、気持ちよく走れた。首都高は夜景が華やかであることは売りだと思う。スカイツリーも東京タワーも、高層ビルの明かりもよく見える。ただ、運転していると見惚れているわけにもいかないし、停まることもスピードを落とすことも許されないのが辛いところだ。高速道路を走っていると、カーナビの案内があっても、今具体的にどの辺を走っているかはゆっくり確認する余裕がない。そもそも出入り口やPAなどの名称だけみて具体的に位置がわかる程度の知識レベルがないと手が出せない。うかつにカーナビを操作すると、それまでのICやPAを表示するモードが解除されて、地図の縮尺も小さくなり過ぎてもはやわけがわからなくなった。慣れていないカーナビだと、それを戻すだけの余裕は一切ない。どこかのPAに入れればいいが、C1にはPAやSAはない。スピードを落とす余裕もないので、一旦入ると出るまで何もわからないという状態になる。もちろん、地方に向かう高速道路よりは、出入り口の名称は馴染みのある地名も少なくはない。銀座、渋谷、新宿、北池袋

ただ、正直、そういう知識レベルの人が自由に首都高を運転するというのは危険ではないかと思う。道を間違えても気にせずどっしり構えているような人はよいが、まごまごしてしまうような人は運転しない方がよい。高速道路の分岐でまごついて事故る、というパターンは非常に多いと思う。

自分の気持ちの前提としては、まず、道は間違えてもいい。何かあったらすぐにどこでもいいから出口から出る。下道で帰宅してもいい。余裕を持てなければ、分岐で無理な車線変更はせず、C1以外に入ってしまってもよしとする。別にノルマがあるわけではないので、そんなフリー走行で事故ってしまってはあまりにもアホ過ぎる。とにかくC1をぐるっとしたい、という程度のモチベーションだったので、こだわりは一切捨てる。とにかく前提知識がなさすぎるので、C1を一周できなくても仕方ない、という程度の気持ちで臨んだ。それ自体は間違っていないと思う。

C1に入る前に駒形PAがあったので興味本位で寄ってみた。首都高のPAは、代々木に一度寄ったことがあるが、とにかく駐車場が小さい印象だ。駐車場というよりも道の脇に停めるという感じで、まあ都内ならそうなるか、とも思う。駒形PAは、代々木よりも遥かに小さく、店舗もなくトイレと自動販売機だけ、駐車場も10台あるかないかという小さいPAだった。あまりに寒いので、トイレに寄った後、自動販売機でホットの缶コーヒーを買って車の中で飲む。

この一年間、本当に忙しく、自分ひとりの時間を持つことはできなかった。車を運転するにしても、常に何らかの大きな目的があった。時間も自由に確保して運転するということはなかった。この一年は、まさに停まることのできない高速道路に乗り込んだようなものだった。そんな中でC1を走ってみたいというただそれだけの思いで、寒い冬の夜に一人で高速に乗ってみたのだ。そういうシチュエーションと、駒形PAで休憩している今の自分は、妙にリンクしたような感じがしてちょっと面白かった。

後から振り返ってみたところ、C1一周計画はほぼほぼ実行できたようだ。ただ、最後に汐留JCTで誤って東京高速道路に入ってしまった。そこからまたC1に戻ったが、箱崎JCTで前と同じ間違い方をしてしまい、再び同じルートを使って木場の出口から出ることになった。

結局、高速道路に入るまでにだいぶ時間をロスし、PAにも寄り道したものの、C1一周は20分程度だったので、全て2時間程度で終えることができた。高速料金は1300円程度だっただろうか*2

*1:駐停車に関するルール〜違法駐車をしないために〜 | 自動車保険の三井ダイレクト損保 これを見ると、「交差点・横断歩道の前後5m以内」と「曲がり角から5m以内」がNGというのはよく弁えておく必要がありそう。確かにこの辺は事故の原因になりそう。また、歩道があるなら歩道に沿って停めればよいが、歩道がない場所では、(おそらく歩行者のために)左側は75cm以上は空ける必要がある

*2:この料金も事前にどう確認すればよいのかわからない。カーナビで設定してもだいぶズレるケースが多い気がしている