年末年始は上質な作品に接する機会でもある(テレビを見ているだけでも!)

テレビを全否定する人もいるが、テレビ番組もピンキリなのでさすがに雑過ぎる態度と感じる。良質な番組に触れることは自分が無知であることを改めて認識し、世界を広げるきっかけとなると思う。

特にこの年末年始は、M-1や紅白に加えてワールドカップがあり、世界のトップランナー達のパフォーマンスを目の当たりにすることができる絶好の機会であった。印象に残っている番組としては、上記の番組の他に「歌唱王」「格付け」「笑ってコラえて」「東西ドリームネタ合戦」があった。

M-1は以前のエントリにも書いたが、一般的な評価はともかくJ−POP同様に一昔前よりもレベルが上がっていると感じる。どれも面白いし、定められた枠の中でいかに自分達の持ち味を出すかに工夫を凝らしている。メッセージ性は要らない、おもしろければいい、という主張があって、それは事実だと思うが、突き詰めたところには語ろうとしなくとも自然にそれはメッセージ性を持つことになるのだと感じる。

紅白歌合戦は近年は個人的な理由であまりまともに観れていなかったのだが、今年は最後まで観ることができ非常によい構成になっていたと感じた。何よりJ-POPのクオリティが最近は格段に向上しており、一昔前のTKファミリーのようなTKとコネがあって顔が普通によければ、歌の上手さに関わらずテレビで歌を披露できたような暗黒の時代を知る世代としては、夢を見ているんじゃないかと思う程だ。

ワールドカップは放映の時間帯がヤバくて、0時AM、2時AM、4時AMから始まるのは本当にやめてほしいと思う。寝不足で体調を悪くしてしまった。しかし世界のトップクラスの選手たちが鎬を削る試合はどれも見応え抜群だった。日本代表のレベルは間違いなく上がっている。世界相手に怖気づかず、フィジカル含め対等の姿勢で戦えているし、個人技も更に上がっており決定力が増している。ドイツスペインのような国が相手でも、わずかな隙をついて点を上げられるポテンシャルがある。PKはダメだったかもしれないし、まだまだ技術的に世界と距離がある選手も少なくなかったところは課題と思うが、未来は明るいと感じさせてくれる試合をしてくれた。

「歌唱王」は僕は初めて知った番組で、要するにのど自慢の全国版みたいな番組なのだが、とにかく出場者全員歌唱力が余りにも高い。40代の主婦が出場していたが圧巻の歌声で、司会のナンチャンが感動して涙が止まらなくなった、というハプニング?を引き起こしていた。実際プロでなくても、歌は人を感動させるものだ、ということを再認識させてくれた。

「格付け」では食の判定だけでなく、覆面のプロとアマのパフォーマンスを鑑賞して判定するというものも多い。楽器の違いを聴き分けるというのもある。そこで、吉高由里子GACKTが「色気」を決め手にプロの演奏を聴き分けたところにいたく感心させられた。演奏の音色や正確さではなく、演奏が醸し出す色気。言葉にして説明するのが難しい魅力だろうか。作品においては結局魅力が一番大事であって、演奏技術はそれを持つための前提条件でしかない。

「笑ってコラえて」では世界で活躍するコメディアンを取り上げていた。その行動力と逞しさ、メンタルの強さに感服させられるとともに、日本人でも世界で活躍できるという自信を与えてくれた特集だったと感じる。それにしても世界で活躍しているアーティストは、いい顔をしている。

「ドリーム東西ネタ合戦」も年始の定番になっている。お笑いとはいえ脂の乗ったベテランの芸を味わうことができる、M-1とはまた違った魅力のある番組だ。