色紙の絵

業界的にある意味タイムリーな色紙の絵の話題。
以前退職者に贈る色紙作成を頼まれた時、色鉛筆で花の絵を描いたところそれが受けて、以来ちょくちょく色紙の絵を頼まれるようになりました。
今回は写真を元に比較的写実的な似顔絵を描いたので、その時に考えたことを例によって自分用メモとして。

前提的なポイント

  • デジタルでない

やり直しが効かない、ということ。
アナログ絵は修正がたやすいデジタル絵と違って、修正の回数がかなり限定されている。特に色紙ともなると、一度失敗したら違う色紙の台紙を買ってきてやり直し、ということにもなる。この性質を十分に把握したうえで取り組む必要がある。

方向性

自分がどういった絵を目指すのか、方向をある程度明確に定めておく必要がある。これは人によって様々だろうが、自分の場合は

  1. 写実性
  2. 特徴をつかむ
  3. 綺麗

この3点は押さえておきたいと思っている*1
2点目に偏って漫画的な似顔絵チックになっても構わないかもしれないが、多分自分にはそれを上手く作品レベルに仕上げるだけの能力には欠けているので写実性を強調したい。

準備の準備

アナログでざっと描いてみる。ここでは色塗りまでいったん通しでやってみる。この段階は完成とは程遠いが、いろいろと手順の確認にもなるし、不足がどこにあるのかを確認する意味も持つ。
特に色塗りについては下描きするプロセスは他にないので、この段階で大いに試行錯誤して、よりよい色を探しておく必要がある。

準備の下描き

  • イメージを固める

下描きはデジタルで作成する。ここで先に挙げた「写実性」と「特徴をつかむ」の2点を満たす絵を模索するというわけだ。写真をよく観察して、『何がこの人の顔の特徴なのか』を考えながら、写実的に描く。
3次元の人の顔を写実的に描くというのは本当に難しい。ほんの1mm、ずれただけでイメージは別物になってしまう。これは個人的には、人が人の顔に対する感度が高いというのが理由だと思っています。
下書きは繰り返し修正を加える必要があり、これをアナログでやっていてはリソースが無駄に費やされてしまう。この段階ではあくまでラフの段階以上には進まずに、考えながら描いてイメージを固める。
この段階にはいろいろ発見があると思います。
また、「綺麗」に見せることはまだ考えずに、特徴をできる限り強調して、似てることを優先させます。

  • 綺麗に見せる

イメージが固まったら、次は綺麗に見せる方法を考える。ここでは綺麗に見せるための意図的な改変も必要となるだろう。必要なのは写実性と特徴を消さないようにうまく綺麗に見せるということ。特徴をつかむための段階で、何が特徴なのかは掴んでいるだろうから、それを消さないように綺麗に、いわば「化粧」をしてやればいい。なかなか楽しい作業でもある。

色紙上のラフ

  • 範囲を決める

まず必要なのが、

  1. 色紙上のサイズを決める
  2. 中心を決める

この2点。絵の範囲としては面積的に1/4を超えるようでは多分大きすぎるだろうし、他の字の配置なども考えないとならない。適切な大きさを決めるのは難しい。
中心は、正直自分もまだ試したことがないからわからないが、デジタルで中央の点を決めてやればよさそうだが、絵を描くというのは中心の点を決めても簡単にそれを中心にうまく調整できるわけでもない。こればかりは経験だろうか…。

  • 道具
    • HBの鉛筆

鉛筆はHBでいいと思う。一応2Bとか4Hとかの鉛筆も用意してはみたが、特に必要性は感じなかったりもする。ただ、先端は余り尖らせない方がよい。

    • 消しゴム

消しゴムはできる限り真っ白な状態にしておく。つまり、前に消した鉛筆の芯の粉がべったり付着している状態ではないようにする。たまにボールペンのインクが付着している場合、そのまま使ってしまうと消しゴムどころか色紙を汚すだけになりかねない。意外に重要なようだ。
自分は普通に鉛筆用のプラスチック消しゴムを使っているが、いろいろ工夫を加える余地はありそうな気がする。

  • ラフを描く

デジタル絵と写真とを並べて画面に表示させた上で、デジタル絵の最終版を元にラフを描く。後で消すようなアタリのような補助線は描いても構わない。ただ消す際には用紙をできる限り汚さないよう細心の注意を払う。
ちなみに、自分としてはここでは一発できれいな絵を描こうなんていう意識は捨てていた。とにかく写実的な絵が色紙上に完成することだけを思い描いて、適切な線を色紙上に実現させることを考えていた。「絵を描く」というよりももっと無機的な作業になっていた気がするが、これが理想的なのかどうかといえば決してそうではないだろうと思う。自分の技術が低い以上やむをえない意識だったかもしれない。

線画

ラフが完成したら、余計な線を消し、必要な線を上書きして強調する。次に色を塗るためにも生きてくる作業だと思う。ここで、ボールペンなどで必要な線を綺麗になぞってやってもよいかもしれないが、鉛筆絵にはそれなりの味があり、ボールペンで上書きすると全く別の絵になってしまう場合があるので自分はボールペンでの上書きは行わなかった。

色を塗る

道具は色鉛筆のみ。ただし色の選択には注意を払う。
自分は肌色の色鉛筆を文房具屋で個別に買っておいた。色鉛筆など、買おうと思わないと買わないものだけども、適当なもので済ませるよりはせっかくだからよいものを買っておく方がよい。
海外製(中国製)の色鉛筆などの質の低さにはかなり萎える。
なお、絵の具は難易度が高い。色紙上は普通の紙よりも水をよく吸うので、絵の具の粉だけが紙の上に厚く残り、想定通りの結果をもたらさない場合があると思う。なんせ実験が足りないのでなんともいえないが、色鉛筆が相対的に扱いやすいことは確か。
色鉛筆は重ね塗りが可能なので、繰り返し塗ることで色を重ねていくのがよいと思う。
うまく色を載せることができれば、かなりそれっぽい絵を完成させることができる。

*1:押さえざるを得ないともいう