スマイルプリキュア、最終回を終えて

スマイルプリキュアが最終回を迎えてしまった。
足早にラストに向かって収束させながらも視聴者へ精一杯のサービスをしようと感じられる展開と、それとは裏腹なTL上のファン達の不満の声を同時に目にしながら、いいようのないもやっと感が残った。

今でも、スマイルプリキュアのOPのイントロを耳にすると、約50回、1年間に亘って、この同じイントロを聞き続けてきたのにも関わらず思い出すのはあの1話を観た時のわくわく感だ。あの、川村女神がキャラデザインを手がけた、奇跡のように可愛く美しい中学生の女の子達。スマイルプリキュアは全てがキラキラと輝いていて、私達の胸はこのプリキュア達への希望でいっぱいに膨らんでいた。

それから1年。スマイルプリキュアはどの回もよい話ばかりだった。私達はどの話にも満足してきた。
敢えてそう言い切る。これに真っ向から異論を呈することができるファンは少ないんじゃないかと思う。
それなのに、なぜ今、私の中に、私達の中に、この最終回への違和感が生じなければならないというのだろうか?

理由はひとつしかない。私達は単純に、このスマイルプリキュアが持っている潜在的な魅力を味わいつくしたとは、到底信じられないのだ。
伊勢物語を宝石を連ねたネックレスに例える例えがあるけれど、スマイルプリキュアも、1話1話が宝石で、全体は宝石を連ねたネックレスのようだと思う。
しかし、私達は、スマイルプリキュアの1話で見た、あの青空に輝くスマイルプリキュアの文字と、みゆきちゃんの「素敵なことが起こりそうな」予感を忘れられないでいる。まばゆく光る宝箱の幻を忘れられないでいる。ネックレス1つで、スマイルプリキュアがこれで終わりなんて、ここで終わらせるなんて、絶対に信じられない。

個性的で、魅力的で、1人1人が主人公とも見紛う魅力に溢れたプリキュア達。様々な種類のキュアデコルとその力を引き出すスマイルパクト、メルヘンランドやバッドエンド王国、秘密図書館、本棚を使ったワープ、1回しか撃てない必殺技、謎に満ちたジョーカーという存在、そしてピエーロ・・・。彼女らの、彼らのストーリーは50回やそこらでは描ききれない程に、濃厚だったはずなのだ。

よくTL上で、「スマイルプリキュアは成長を描いていない」という意見を見た。「スマイルプリキュアは内容が薄い」「スマイルプリキュアはストーリーが単純」という意見も見た。しかしこれらの意見はいずれも、上に示したこの違和感をそれぞれ違う言葉で表現しようとしているだけに思える。プリキュアという枠組が大好きだったからこそ、1年で無理やり終わらせなければならないその枠組が疎ましく思える。わかっていてもこのジレンマは、プリキュア達がみな魅力的であればあるほどに強まるのかもしれない。

それでも間違いなく言えることは、スマイルが1年という短い間に、私達に「宝石の連なり」を残してくれたということ。
プリキュアはどの作品においても、大事なことは、きっと、「プリキュアが文字通り身体を張って示してくれたことから我々が学ぶ」ということ。
これまでと全く同じように、残してくれた作品を、私達は精一杯に愛して、そしてそこから学んだことを自らの人生で実践していこう。
辛かったり、悲しいことがあっても、笑顔で前向きに、前に進んでいくことができれば、スマイルプリキュアはきっと、TV放映とは違う形で、新しい「作品」として私達の元に戻ってきてくれる、そうなんだと思っている。