DPの客観的な難易度指標のための譜面の分析

一般にダブルの譜面は、譜面やBPM、レーダーチャートを見ただけではその難易度が直観的にはわかりにくいといえます。
例えば、激DP ArrabbiataのBPMは225で、300以上が当たり前の高難易度曲群と比較するとむしろそれほど速くはない部類です。また全てのノートが8分と4分のみで構成され、ソフランもないため変則性も低く、レーダーチャートも目立つものではありませんが、実感としてMAX系のボス曲と同等以上の難易度となっています。*1
ここでは、「体向*2」とその推移を調べ、グラフ化することで、体のひねりがどれだけ必要になるかということを直観的に示します。また、そこから客観的に難易度を示す指標として「1秒当たりの回転角度」を提案します。

グラフ化

激DP MAX 300について、最大の難関であるラストの8分47連における体向を各ノートについて調べ、グラフ化してみます。

図1: EDP MAX 300における体向角度の推移と各ノート間の回転角度
(動画)

次に、EDP Arrabbiataです。譜面は、前半の同じく8分47連よりひっぱってきました。

図2: EDP Arrabbiataにおける体向角度の推移と各ノート間の回転角度
(動画)

グラフの説明

グラフの横軸は体向角度(または回転角度)(単位:度)、縦軸はノート番号を表しています。ノート番号は図左の譜面と対応しています。
折れ線グラフは、各ノートにおける体向角度の推移を表しています。0度は、プレイヤーの体が画面に向かい、かつ画面に対して平行になっている状態を表します。正の角度は左回転を、負の角度は右回転を表します。したがって、「折れ線グラフが右/左方向にのびる⇔プレイヤーが右/左回転する」といえます。
折れ線グラフが下方向に続く場合、体向角度は変わらないということになります。
また、緑のバーで表されているグラフは、次のオブジェクトを踏むために必要となるプレイヤーの回転角度を表しています。たとえば、図1のノート番号(以下#)12について見ると緑のバーは90度となっていますが、これは#11と#12における、体向の差が90度であることを意味しています。直観的な解釈としては、#12を踏むためには#11を踏んでから、90度左に回る必要がある、ということになります。
この回転角度の絶対値の総和が、その曲において必要な回転角度を表わします。

両曲の違い

MAX 300は、いわゆる地団駄が多く、体の向きは変えずにその場での高速8分連打を要求する譜面なので、折れ線グラフは縦に伸びている箇所が目立ち、回転角度としてはかなり穏やかな印象を与えます。
一方、Arrabbiataのグラフは、一見するだけでMAX 300との違いが明白です。2ノート間で体向角度が変わっていない箇所は2か所のみで、それ以外は常にかなり大きい回転角度が要求されています。折れ線グラフの向きが左右切り替わっているところが右回転⇔左回転の切り替えポイントということになりますが、これについても比較して非常に多くなっています。

また、このグラフとBPMから、1秒間の回転角度を調べることができます。

  • MAX 300

8分音符46ノートについて、回転角度の絶対値の総和が1215度
BPM300→46ノートは4.6秒間に相当。

1秒当たりの回転角度=1215度/4.6秒≒264度/秒≒0.73回転/秒

  • Arrabbiata

8分音符46ノートについて、回転角度の絶対値の総和が4095度
BPM225なので8分音符7.5ノート/秒、したがって、46ノートは46/7.5≒6.13秒間に相当します。したがって、

1秒当たりの回転角度=4095度/6.13秒 ≒ 668.0度/秒≒1.85 回転/秒

となります。実にMAX 300の2.5倍です。

まとめ

DPの難易度はBPM、譜面、現在のレーダーチャートだけでは直観的に把握できない→

  1. 譜面の特徴を抽出し、直観的に難しさが把握可能にするため、体向角度の推移をグラフで表現
  2. 「1秒当たりの回転角度」という、新しい客観的な指標を提案

*1:DDRXの難易度表記によると、アラビアータ=16、MAX 300=15、MAXX UNLIMITED=15、MAX 300 (Super-Max-Me Mix)=15、PARANOIA survivor MAX=15、The Legend of MAX=16です。(全てEXPERTについて)

*2:「体向(たいこう)」とは僕の造語で、文字通り「体の向き」を意味します。角度を表すことを明示したい時は「体向角」とか「体向角度」と書きます。これについてはまた次の機会に書きます。