古い日本と日本語に関する興味

大正ロマンともあいまって、俄然興味が湧いてきた。昔から言葉そのものに対する関心は非常に強かった(特に具体的な行動には繋がっていないところがアレだが)のだけど、昔の日本については特に関心があったわけではなかった。しかし、思ったよりも魅力的な世界が広がっているように思えてきた。

そもそもこんなことを思い始めたのは、「俳句脳」という書籍の中で、黛まどかが話している内容が物凄く新鮮で深かったことに由来する、気がする。

音ゲー曲には和風にアレンジされた曲は意外と多い。J-POPなどと比較すると断然多いんじゃないだろうか?
一般受けを狙う必要がないからアーティストが自由に自分の好きな世界を表現できるのか、あるいは音ゲーユーザーにはこの和風の曲が受けるのか、別の理由なのか、よくわからないが。
そのうちの一つ「たまゆら」の歌詞は以下の通り

たまゆら

歌:東工大コールクライネス 作詞:佐々木 博史 作曲:佐々木 博史
胸元に 薄紅の
貴方の 貌(かたち)ぞ残れり
唇に 面映(おもはゆ)き
艶々(つやつや)の夜の香は 今昔


徒(いたづ)らに 時は流れ
便り無き花は枯れてゆく
言をなす 人も無くに
水面(みなも)にまた一滴(ひとしずく


水色の 玉響(たまゆら)ぞ
何故この身に幾度と
一人寝の 寂しきに
また衣(きぬ)を濡らす


文(あや)無きや 文無きや
思いはまだ遠く
山の端(は)に 久方の
色濃い陽が出づる
清(さや)か

たまゆら」というのは瞬間という意味らしいです。玉響という漢字をあてるそうな。由来などはぱっと思いつかないですが、歌詞だけ見ると、タイトルにふさわしく、人の世、人生の無常感を謳った歌に見えます。
現代のアーティストが作詞したものですが、このような文章が綴られていたことが想像させられていい感じです。

また、ポップン15で初出のTOMOSUKE曲「凛として咲く花の如く」(ジャンル名「撫子ロック」)。15の稼働当初たちまち話題となり、mixiの日記キーワードのトップに君臨したという今考えると信じがたい偉業をやってのけた曲である。ただの音ゲーというマイナーなジャンルの中の、ポップンという一機種の中の一曲が、日記キーワードに上っただけでも快挙なのに。

凛として咲く花の如く

春深く夢の輪郭を
ぼかして 行き過ぎて 舞い戻る
花びらは仕草を追いかけ
薄明かりの下で 密やか


爪先であやす月の兎は踊り
星の間を跳び回る
口笛吹き


飛沫あがる
わたし駆ける
追いかける星は
回る回る 小さな蕾


咲いて咲いて月にお願い
穏やかな影に薄化粧


知らず知らず えいや!と投げた
蕾は行方知れずのまま


見下ろして小さくなった 雲の間に
芽を出した線香花火
つぶらな夢


飛沫あがる
火花翔る
問いかけた星は
かわるがわる 顔を変えた


咲いて咲いて くるりと回る
舞姫の如くたまゆら
思い思いに動く影と
中合わせて(ああ)


走る!


弧を描き
影は伸びる
陽炎の先に
咲いた あった!丸い花が


咲いた咲いた
星の破片が
月の裏側で泣いていた


気づかぬうちに隠れていた兎も
また弧 描く


咲いて咲いて月にお願い
穏やかな影に薄化粧
知らず知らず えいや!と投げた
蕾は 行方知れず


咲いて咲いた風に揺られて
穏やかな坂は薄化粧
下駄鳴らして 口笛あわせ
凛としてはんなりの心

わらべうたのような和風の幻想的な雰囲気と、躍動的な「動き」が調和した歌詞。たまゆらのような耽美的・静的・叙情的な世界とは対照的。
「追いかけ」「踊り」「跳び回る」「飛沫あがる」「駆ける」「回る」「えいや!と投げた」「くるりと回る」「走る!」「弧を描き」などと、動詞を主としたダイナミックな表現が多用されているのは見逃せないポイント。伴奏は激しいロックなので、とてもよくマッチしています。
ここで使われている言葉自体はとりたてて古風というわけでもないですが、使われている日本独特の言葉がうまくこの幻想的な世界観を表現しているような気がします。