やっぱ俳句いいわ

シリウスの青眼ひたと薬喰

上田五千石

以前ここでも紹介した清水哲男『新・増殖する俳句歳時記』、結局一年に何回かしかみてない^^;逆に言うと、一年に何度かは思い返してこのページにアクセスする。

掲句は、12月22日現在取り上げられている中で最新の俳句だが、最近目にする俳句が、伊○園のお〜い○茶新俳句大賞くらいだったから、改めてプロの詠み手の段違いのレベルに唸らされる。まあ、○藤園のはあれ俳句じゃないしな比較するのさえオコガマシイというかすみませんなんか>大賞に選ばれた方々

俳句は十七音しかないわけで、その中で表現するためにまずは言葉の持つ可能性の広さを発掘することが必要になる。掲句では、「シリウス」「青眼」と「薬喰」という言葉、それのいわば“接続詞”(接続子?)となっている「ひたと」という副詞。
次にその可能性をうまくコントロールしなければならない。このコントロールというのが特に恐らく大事で、コントロールしなければその意味は発散して「俳句」は単なる言葉のシーケンスに堕する。
このようなテクニカルな作業を必要とする俳句は、結果としてどうしても超現実的な言葉の組合せを生じさせがちである。
解説では「青眼は正眼であろうから、正面にシリウス。」とあるが、もちろん青眼というのは正面という意味と、シリウスそのものと、そして「薬喰」の獣の眼の3つの意味を表す。
「ひたと」という言葉は、その3つの意味と「薬喰」とを静かに、不気味に、接触させているうまい言葉だと思う。

一言で言えば、獣の肉を食べた時に感じたその獣の眼、であろうか。
自分風に、イミフ文字列で表せば「獣肉食いその命」といったところ。これを何百倍か端正にインパクトのある形でまとめあげたものが掲句。

やっぱ、俳句はいいわ。