ロマンス飛行


今年の例大祭の新作「東方来夢来人II」収録の東方アレンジ。ボーカルはあの、めらみぽっぷさん。
彼女の歌を初めて聴いたのはにとりの歌だった。多分それ以前からニコ動では活躍していたんだと思う。あれから3年近く経過するんだろうか?今やあちこちの音系サークルからひっぱりだこの人気のようで、毎回イベントで頒布されるいくつも東方アレンジ曲で彼女の歌声を聴くことができる。ちょっとハスキーでかわいらしい個性的な声にしっかりした歌唱力が伴ってこっち方面では最強の歌姫ですね。

夜空のユーフォーロマンス

原曲は東方星蓮船〜Undefined Fantastic ObjectのEXTRAステージの道中曲「夜空のユーフォーロマンス
EXボスの封獣ぬえの攻略難易度は比較的やさしいのに対し道中の難易度は高く、自分もしばらくはこの道中曲の流れる中、小傘にボコられていたものです。
ただ星蓮船自体が全体にそうですが、なぜかアレンジ曲が少なかったのでこの「ロマンス飛行」が自分にとってほぼ初めてのアレンジ曲*1でした。しかし聴いた瞬間直感しました。神主が星蓮船のEXステージで描こうとしていたイメージ、その一側面はこういうものだったのではないか?と。
特にこの曲ではぬえの不気味な笑い声が効果的に使われていること、トランペット(通称ZUNペット)の壮大な響きが強調されていること、不慣れなプレイヤーにはトラウマになりかねない難易度であることからも、そのBGMが曲の持つ可能性とはだいぶ違った方向に印象づけられてしまうということはありそうですが、このアレンジではそういった要素を除いて上手く原曲の可能性の一部を取りだして拡張することに成功しているように思えたということです。キラキラして、カラフルで、かわいくて、ファンシーな、そういう雰囲気ですね。それでいて原曲の独特なメロディを壊さずに大切に活かしている。
単純に原曲のメロディを異なる雰囲気でアレンジするというのは少なくないですが、単にそれが奇をてらったものでしかなければ一発ネタで終わってしまう。「一見全く違う雰囲気だけど、実はそれは原曲では隠されていたポテンシャルを引き出している」。「ロマンス飛行」はそれに成功していると思います。

東方アレンジが教えてくれること

東方アレンジ曲は、「アーティストの感性」というフィルターを通過している。ごく大ざっぱにいえば、原曲の各要素にアーティストの感性が掛け算されているということ。その結果、原曲を聴くだけでは気付かなかった要素がスポットライトを浴びることがある。
自分は専らこの観点から東方アレンジを楽しんでいる。つまり、原曲の味わい方を増やしてくれるのが東方アレンジなのだ。
原曲のメロディだけ一部拝借してほぼオリジナル、みたいなアレンジは、一般には東方アレンジと呼ばれるだろうが、それは二次創作の皮を被ったオリジナルであって、「二次創作としての意味」はないと感じる。

*1:ハードコアアレンジで一曲あった