jubeat雑感

新しい音ゲーBEMANIブランドなのかは不明。でも多分そう。
UIが非常に独特で、ボタンと画面が一体化している。恐らく当初のイメージとしては、「タッチパネルを用いた音ゲー」だったのではないかと想像する。それが練られた結果がこの4x4の正方形に配置された16個のボタンと、その下に表示されるマーカーという形で実現したのではないかと思う。

なぜこのようなUIを導入したか。単純に「何か目新しいもの」を求めたのではなく、恐らくは「新規ユーザー層の開拓」を強く意識したのではないかと思う。従来の音ゲーは、何よりも1.そのUIの複雑さと、さらにその2.複雑なUIと画面との対応とが非常に敷居を高くしていたと言える。もちろんそのほかにも様々な要素があるだろうが、一見さんがちょっと触れてみて、そこからリピーターになる割合というのは恐らく他のゲーム以上に低いものだったのではないか。
UIの複雑さに関しては、音ゲーというゲームの特性上、どうしても多くのボタンが必要になる。また、それが、少なくない人たちがおそらく比較的慣れ親しんでいるファミコンのパッドの「十字キーとボタン」という形式とはかけ離れていることから、その操作に慣れるまでが一つの難関になる。
そして、画面とUIとの対応。慣れてしまうと、案外直観的な対応なんじゃないの?と思うかもしれないし、実際直観的になるような工夫は出来る限りされているとは思う。しかし結局、それはプレイヤーが非直観的なものを慣れによって克服したにすぎない。例えば最もボタンの数が少ないDDRにおいても、↑矢印と↓矢印の位置を反対にするだけで、特に慣れたユーザーにとっては極端にプレイしにくくなる。DDRの→矢印と←矢印は確かに直観的な配置といえるが、上と下は恣意的なものなのだ。
DDR開発中には、画面中央にパネルと同じ配置のステップゾーンを配置し、周囲から矢印が迫ってくる、という形のUIも検討されていたそうだが、それは没になったらしい。ボタン4つのDDRでさえ、そのUIを決定するまでには試行錯誤があった。

今やすっかり音ゲーのプレイヤー層はマニア化しており、敷居を何らかの理由で乗り越えることができたものたちのみを対象にせざるを得ないという状況にある、と思う。

これが事実にどれだけ近いのか、またコナミの中の人たちが課題に感じていたかどうかは知らないが、ともかくjubeatのUIの変化はこれらの問題をかなりの程度解決した画期的なUIとなっている。

UIの複雑さについては、数だけでいえば16個のボタンということで、従来のあらゆる音ゲーの入力デバイスよりも多いように感じられる。しかし多ければ即複雑ということではない。ボタンは4x4のマス状に並べられ、それを「手で押すだけ」という意味では、これまでの音ゲーの中では最もシンプルである。これに比肩するシンプルなゲームはポップンくらいのものである。DDRはその上に体を乗せなければならず、パネルを押しっぱなしだったらどうなるか、という問題が必然的に生じた。IIDXやギター、ドラムに関してはその操作の複雑さは言うまでもない(個人的には足と手を使うドラムがとても大変です)。
そして特筆すべきはそのUIと画面との対応である。これは「タッチパネル」であり、ボタンと画面は一体化している。これ以上直観的なUIはない。従来の音ゲーであれば、オブジェクトが落ちてきたときに、どのボタンを押すのかというのをまず手元で確認しなければならなかった。これを完全に克服するときには、恐らくプレイヤーは相当の上級者になっているのではないかと思う。その点、jubeatは光ったボタンを押せばよく、対応に困るという問題はない(別の対応の問題はあるが、それはゲームの中の問題であって、ゲームの中に入るまでの問題とは異なる)。

このようなやりやすさからか、もちろんメインはBEMANIの他の音ゲープレイヤーだったのだろうが、秋葉原の2つのレジャーランドにはそれぞれ4台ものjubeatが置かれており、しかもワンクレが200円であるにも関わらず、自分が行った時にはプレイする人が絶えることがなかった。このように導入段階で盛況な音ゲーも珍しいのではないかと思う。
実際自分がやった限りでは、他の音ゲーをやり始めた時に感じる慣れの期間というものを殆ど意識する必要もなく、直ちにそのゲームをどうプレイすればよいか、ということを考え始めることができた。いかに手を動かすか、あるいは普段の手のホームポジションはどこなのか、同時押しはどのように押せばよいか、などなど。その分、今までの多少の経験も活かしやすかったとも思う。上達する楽しみというのが、単なる入力機器へ体を慣れさせるというものを含まずに、よりストレートな形で味わえたと思う。200円なのについ6,7クレもプレイしてしまった。