東方アレンジ語り

「原曲の魅力を引き出す」について未定義で使っていたのである程度定義しようと思います。ある程度定義って何でしょう。
まず、原曲というのは東方のSTGの中でBGMとして作られている曲です。この原曲に対する認識は原曲の限界に気づくためには不可欠です。当たり前ですけど。

「原曲の限界」

また未定義で使ってしまった「原曲の限界」。神主曲とはいえ限界はあります。しかしそれはむしろワザとというか、制約内で作らなければならない事情があります。

  • 物理的な限界

音源が打ち込みであるという時点で表現力の限界があります。wav音源なので別に打ち込みでないといけないわけじゃないんですけど、神主がそのような形で作っている限りはそれが物理的な限界というしか。

  • STG曲であるという限界

STGのBGMである限り、ゲームに沿うような形で作らないといけません。ゲーム性を無視した曲は単独で優れていても、ゲームとして見た際の評価を下げずにはいないでしょう。神主の意向として、「音楽を作るためにゲームを作る」というような方向性もあるようですが、それは音楽のためにゲームをはせだにするという意味ではないと思います。一種の照れなのかもしれません*1

「原曲の魅力を引き出す」

原曲にはこのような限界、いやむしろ「制約」といいましょうか、その制約下において作成されています。
しかしアレンジにはそのような制約は一切不要、つまり「東方アレンジ」の可能性は無限です。そのような制約を取り払ったとはいえ、原曲の魅力を引き出せるかどうかはもちろんアレンジャーの腕にかかっているわけですけど。

  • 物理的な制約をとりはらって魅力を引き出す

生音を使えばそれだけで魅力が増します。ただし正確にアレンジして正確に演奏する必要がありますけど。詳しくは知りませんが、たとえばピアノはそのまま音を楽譜にあてはめたとして人間が二本の腕で弾けるようになっているのかどうか。多分無理でしょう。そのため、恐らく普通に演奏するにしてもアレンジは不可欠だと思います。生の楽器を使ったアレンジは多いですね。まらしぃさんのピアノアレンジだとか、TAMさんのバイオリンによるアレンジ、またアイリッシュ楽器を使ったアレンジはネット上でも人気だと思います。

  • STG曲であるという制約をとりはらって魅力を引き出す

実はこのSTG曲であるという制約は物理的な制約以上に遥かにでかい制約かもしれません。多分神主も、STGのBGMであるために、また、道中曲/ボス曲であるためにいろいろ苦心しているんだろうと想像します。とすると、この制約がないことで東方アレンジは原曲のフレーズを自由に利用して自分の世界を表現できるわけです。
たとえば前のエントリで紹介した「蛙石」などは典型的にこの方向性で成功したアレンジだと思います。このアレンジはボス曲といわずともSTGでは使いにくいでしょう。逆にクラブ系とかミニマルテクノ系のアレンジであればSTGでも使えるのかも。幻想郷的かどうかは知りませんが…w

*1:単なる根拠のない妄想です