食べるという不自然

空腹時でもないのに仕事中に腹がなったりして気まずい思いをすることが多い。
消化器系統が弱いのかもしれないんだけど、最近それとは別の理由で仕事中にデスクでものを食べることをしなくなったんですが、飲食しなければ音がなることもないということに今更気づいた。

考えてみれば当然のことで、飲み込めば空気が胃の中に入るし、液体が喉を通って胃に落ちる。
食べるということは異物を物理的に体内に取り込むということで、そのためには対象を噛み切り、砕いてすり潰し、唾液を絡ませて嚥下する必要がある。これは相当異常な行為である。もちろん人間は食べないと命を維持することができないし、そのために食欲は人間の根源的な欲求のひとつなのだ。したがって、その異常性は看過されるか、あるいは美化されて積極的に肯定的に捉えられる。

話は反れるが、例えばホモセクシュアル的な振る舞いは、性的行為の「虚飾」を見事に取り去って我々の前に示してくれる。異性間の性行為が時に映画やドラマのクライマックスとして描かれることさえあるのに対し、同性間の性行為に対して強烈な生理的嫌悪感を催す人は少なくない。しかし両者は行為としてはなんら変わりはないのである。人がそれに対して欲求を持つことができれば、どんな異常な行為すら正当化されてしまう。ホモセクシュアルな行為は、同一の行為に対し欲求という心情を取り去った「本当の」姿をヘテロな人の眼前に晒してくれるのである。

胃や腸が強い人は殆ど気にならないかもしれないけど、自分のようなタイプはどうも食することの不自然さがクローズアップされてしまうらしい。