毒書案内

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発売当時には結構東大でもいろいろ宣伝してたりイベントが行われたりしてた本。
いかにも駒場って感じの本で結構好き。

アルチュール・ランボーの『地獄の季節』も紹介されてます。

本篇はしばしばランボーの自伝的作品として読まれてきました。・・・(中略)・・・けれども主体として語る「私」がじつはそれ自体で完結した自明の存在ではなく、何か自分ならざるものに開かれた一種の「場」のようなものであることをいちはやく自覚していた少年詩人にとって、語り手の「私」をそのまま自分自身と同一視するような読み方をされるのはおそらく心外でしょう。・・・(中略)・・・本書は何らかの経験の再現や反映ではなく、それ自体がひとつの「経験」であるような作品なのです。だから私たちもまた、ページの背後に何らかの人生や思想や感情を見るのではなく、そこに書きつけられた言葉そのものの強度を全身で受けとめなければなりません。

「経験」というのは「現象」といった意味かしら。
ランボーの詩は叙事詩で、ボードレールが叙情詩だ、っていう比較があったような気がするけど、確かに「詩」というのは言葉そのものの芸術であって、普遍的な何かの表現を物語や現象に仮託する小説とはその意味で本質的に異なる(と思う)。